「ねえ、どうしてこの名前にしたの?」
ある日、子どもからそんな質問をされたら、あなたは何と答えるでしょうか。
生まれてくる赤ちゃんの名前を、一生懸命考えたあの日。
いくつもの候補を書き出したり、夫婦で話し合ったり、ようやく一つに決めたり。
その時間を思い出して、懐かしくなるかもしれません。
一方で、こんなふうに迷う方もいるでしょう。
「特別な意味を込めたわけじゃないんだけど……」
「名前の由来って、ちゃんと説明できないといけないの?」
「そもそも、いつ伝えればいいんだろう?」
今回は、子どもに名前の由来を伝えることについて、一緒に考えてみたいと思います。
名前の由来は、必ず伝えなければいけない?
名前の由来を、必ず何歳までに伝えなければならないという決まりはありません。
親から積極的に話す家庭もあれば、子どもに聞かれたときに話す家庭もあるでしょう。
どちらが正しいということではないと思います。
ただ、子どもが自分の名前について興味を持ったとき、その気持ちを大切にできたらいいですね。
「どうしてこの名前なの?」
その質問は、単に漢字の意味を知りたいだけではないかもしれません。
自分が生まれる前、家族がどんなことを考えていたのか。
そんなことを知りたくなる場合もあるでしょう。
何歳くらいで伝えるのがいい?
子どもが名前に興味を持つ時期は、それぞれ違います。
幼いころから自分の名前の音を楽しむ子もいれば、学校で名前の由来について考える機会がある子もいるでしょう。
大切なのは、年齢だけでタイミングを決めないことです。
小さな子には、短く、わかりやすく。
「この音がとても好きだったんだよ」
「お父さんとお母さんで、たくさん考えて決めたんだよ」
それだけでも、十分に会話になります。
少し大きくなったら、候補に挙がっていた名前や、決めるまでの出来事を話してもよいでしょう。
一度ですべてを伝える必要はありません。
成長に合わせて、少しずつ話すこともできます。
特別な意味を込めていなかったら?
名前を決めた理由は、家庭によってさまざまです。
漢字の意味を大切にした人。
好きな響きから考えた人。
家族の思い出にちなんで選んだ人。
何となく気に入って、何度も呼んでいるうちに「この名前だ」と感じた人。
どれも、名前を選んだ理由です。
例えば、子どもに聞かれたとき、
「響きがかわいくて、呼ぶたびにうれしい気持ちになると思ったんだ」
と答えてもよいのではないでしょうか。
無理に立派な由来を作る必要はありません。
名前に込めた意味だけでなく、名前を好きになった理由も、伝えられる思いの一つです。
名前を決めたときのことを、少しだけ残しておく
赤ちゃんの名前を考えているときは、あんなに悩んでいたのに。
何年も経つと、細かな出来事を忘れてしまうかもしれません。
だからこそ、今、名付けを考えている方には、小さな記録をおすすめしたいです。
例えば、
- 最後まで迷った名前の候補
- その名前を好きになった理由
- 名前が決まった日の出来事
ノートでも、スマートフォンのメモでも構いません。
きれいな文章にする必要もありません。
「あの日、二人で何時間も話した」
「何度も声に出して呼んでみた」
そんな一言が、何年か後に大切な思い出になることもあるでしょう。
子どもに話すためだけでなく、親自身が名付けの時間を振り返る記録にもなります。
子どもが名前を気に入っていなかったら?
名前の由来を伝えたとき、子どもが必ず喜んでくれるとは限りません。
「もっと違う名前がよかった」
「この漢字、難しいよ」
そんな言葉が返ってくることもあるかもしれません。
親としては、少し寂しい気持ちになるでしょう。
でも、その気持ちをすぐに否定しなくてもよいと思います。
「そう感じるんだね」
「どんなところが気になるの?」
まずは、子どもの話を聞いてみる。
親が名前を大切に思っていることと、子ども自身がその名前をどう感じているかは、必ずしも同じではありません。
名前は親が選びますが、その名前を使って生きていくのは子ども自身です。
だからこそ、由来を伝える時間は、親の思いを一方的に説明するだけでなく、子どもの気持ちを知る時間にもできたらいいですね。
「こんな人になってほしい」と伝えてもいい?
名前には、親の願いが込められていることがあります。
「優しい人になってほしい」
「のびのび育ってほしい」
「自分らしく歩んでほしい」
そんな願いを伝えること自体は、自然なことだと思います。
ただ、その願いを、子どもが守らなければならない約束のように感じないようにしたいものです。
例えば、
「優しい人になってほしいから、この名前にしたんだ。だから、いつも優しくしなさい」
と伝えるのと、
「生まれてくるあなたのことを考えながら、優しさを願ってこの名前を選んだんだよ」
と伝えるのでは、受け取る印象が違うかもしれません。
名前に込めた願いは、子どもの生き方を決めるためではなく、誕生を待っていたときの親の思いとして伝えられたらいいですね。
名前に願いをどこまで込めるかについては、こちらの記事でも考えています。
名前の由来を話すことは、思い出を分け合うこと
名前の由来を伝えると聞くと、何か特別な意味を説明しなければならないように感じるかもしれません。
でも、本当に伝えたいのは、難しい漢字の意味だけではないはずです。
「あなたが生まれるのを楽しみにしていたよ」
「どんな名前が似合うかなって、何度も考えたんだよ」
そんな、名前を選んでいたころの気持ちも、きっと大切な話になります。
もちろん、すべての家庭に同じ名付けの物語があるわけではありません。
事情があって詳しく話せないことも、思い出せないこともあるでしょう。
そんなときも、無理に物語を作る必要はありません。
今、その名前をどう思っているか。
子どもにどんな気持ちで向き合っているか。
そこから話し始めてもよいのではないでしょうか。
名前は、赤ちゃんへの最初の贈り物。
そして、その名前を選んだときの思いは、何年か後に、親子で分かち合える贈り物になるのかもしれません。

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